初めて車を運転する その1
俺が通ってた自動車教習所は、一人の教習生に対して一人の指導員が担当する方式を取っていた
ただ空いている車があれば、他の指導員にも対応して貰えるってことだったから、どんどん申し込んでさっさと卒業しようと考えていたよ
技能講習は所内でやる第一段階と、路上に出る第二段階に分かれていて、MTは最短でもそれぞれ15時間+19時間の計34時間こなさなければならない
仮免試験、卒業検定に受からないようなら補習になり、その分余計に金がかかる
なんとかストレートに卒業できるように頑張りたい
そして、いよいよ初回の教習に向かったよ
俺の担当はおそらく60近いベテランな感じの指導員Oさんだった
これからよろしくお願いしますと挨拶をすると「おぅ、よろしく」みたいにぶっきらぼうに返してきた
これは苦手なタイプっぽいと思いつつ一緒に車に乗り込んだ
まずは指導員の運転で所内の端っこの方に車を止め、席を交代した
運転席に座るとシートとルームミラーの調整をしてシートベルトを締める
その間にOさんにいくつか質問された
Oさん「免許をとるのは初めてなの?」
俺「はい」
Oさん「ふーん、でMTを選んだのは車が好きなの?」
俺「いえ、特にそういうわけでは・・・」
Oさん「じゃあ仕事で必要なの?」
俺「いえ、そういうわけでもないです」
Oさん「MTはかなり大変だよ 覚悟しておいた方が良い」
すでにテンションダダ下がりで、委縮しまくった状況でいよいよスタート
クラッチとブレーキを踏み、ギアをローに合わせ、サイドブレーキを降ろす
そしてアクセルを踏むんだけど、MT車はそれだけでは動かない
と説明されたんだけどこれがさっぱり頭に入ってこない
サイドブレーキを上げたままアクセルを踏んだり、アクセルの加減が分からなくて思い切り吹かしたり、あたふた
何より半クラッチって言うのが難しい
エンストの連続、発進出来てもガタガタ
そして指導員Oさんはため息連発で、俺はさらに委縮するという負のスパイラル
安易にMTコースを選んだことを後悔したよ
何よりOさんが完全に苦手なタイプと確定して、免許を取るっていうモチベーションが一気になくなりそうだ
最初の教習が終わるころには汗だくですっかり疲弊していた
でもこの日は、もう1時間教習を予約してたんだよね
つづく